ファイルNo.20 シャカパチの功罪
プロローグ
ワトソン:パチパチパチパチ……
ホームズ:???
ワトソン:パチパチパチパチ……
ホームズ:???
ワトソン:パチパチパチパチ……
ハドソン:ワトソン医師はもしかして、シャカパチの練習をされているのではなくて?
ホームズ:やぁ、久しぶりだね。マダムハドソン。実に刺激的な登場だったよ。
ワトソン:パチパチパチパチ……
ホームズ:そしてワトソン君はそろそろ、口でパチパチいうのをやめた方がいいよ。実に痛々しい光景だ。
ワトソン:だってシャーロック。この前対戦した人の手札シャッフルの仕方がとても綺麗で、つい真似したくなったんだ。でも、その人みたいにパチパチ綺麗な音がならなくて……
ハドソン:別に手札シャッフルなんてマネしなくてもいいのではないかしら?まぁ確かにポケモンカード以外のカードゲーム出身の方は、手札シャッフル通称シャカパチを多用される印象がありますが。それはどうしてなんですの?名探偵。
ホームズ:なるほど。ワトソン君が色々格好つけたいお年頃ということは置いておいて、マダムの疑問に答えていくとしよう。
シャカパチの生まれたわけ
ホームズ:一般にシャカパチには意味がないと言われている。カードをシャッフルするだけの行為だから常に行っている必要も薄い。その一方で対戦自体は30分近く続くため、暇つぶしとして生まれたという説もあるくらいなんだ。
ハドソン:あら、手元にカードがあるから触りたくなるということですか。将棋や囲碁でしたらマナー違反ですわね。
ホームズ:おっしゃる通り。一部のTCGでもシャカパチはマナー違反、またはルール違反として罰則を設けているゲームもあるそうだ。
ワトソン:そんな、せっかく練習していたのに……
ハドソン:医師の場合はまだ全くできていませんから、大丈夫でしょう。それ以前に口でパチパチしゃべること自体アウトでしょうけど。
ホームズ:もうひとつ言われている理由としては、ハンデス対策。つまり手札からランダムにカードを捨てたり、山札に戻したりする効果を持つカードを使われた際に、相手に情報を与えないようにするために生まれたという説もあるよ。
ハドソン:デュエルマスターズのゴーストタッチ、遊戯王の首領・ザルーグなどその手のカードの歴史は古いですわね。
ワトソン:ポケモンカードだとマーズが代表的だね。
ホームズ:競技シーンなどゲームテンポの速い場では、急なハンデスに対応できないため、あらかじめシャッフルをしておこうという考えが生まれたのだろう。だが、シャカパチは来るかどうかわからないハンデス対策くらいしか有用性はないと言われてもいる。ポケモンカードだとハンデス系カードは少なく、その中でも手札をランダムにしておく必要性のあるものはごく一部だ。
シャカパチのデメリット
ホームズ:では、シャカパチのデメリットも解説していこう。
ハドソン:そうですわね。わたくしはあまりシャカパチにいい印象を持っておりませんの。気が散るというか……うるさくて。
ホームズ:マダムが1つ挙げてくれたね。対戦相手を不快な気持ちにしてしまうことが第一だ。場合によってはジャッジから静止がかかったという話もある。マナー違反の行為として過度なハンドシャッフルを挙げているTCGがあることは先述した通りだ。
ワトソン:そうだね。どれだけかっこよくても、集中したい場面でシャカシャカパチパチ音がしていたら嫌かも。
ホームズ:それだけでなく、シャカパチはカードに傷をつける。スリーブは早く痛むためマークドを疑われたり、交換の頻度も増えることになる。そして何より、シャカパチによってついたカードの反りは生半可なことでは治すことができない。ジャッジによってスリーブだけではなく、カード自体の交換を求められることもあるそうだよ。
ワトソン:そんな!?カードの予備なんて持ってないよ。
ハドソン:しかも現代ポケカではデッキリストを登録していますから。適当に1枚エネルギーをさして出場ということもできませんわね。ジャッジにそう判定されてしまったら、棄権もあり得ますわ。
ワトソン:こわっ!?
ホームズ:さて、そんなリスクのあるシャカパチだけれど、まだ練習するかい?わが友よ。
ワトソン:やめておくよ、シャーロック。